第1回 少額債権とはなにか

 金額30万円、50万円という様に、金額が100万円を下回るような少額債権の回収について読者のみなさんはどのように対応されていらっしゃるでしょうか。おそらく多くの企業で、「諦めている」「問題だとは思っているが対応していない」などの状況であると思います。少額債権は企業に必ずといいほど存在する、身近な問題であるにも関わらず、社会としてノウハウの蓄積がないため放置されるとうことが多く行われてきました。
 筆者は、司法書士としてこれまで多くの少額債権の回収に関わってきました。今回の連載ではその実務で培ったノウハウを紹介していきます。読者のみなさんに少額債権への対応のきっかけになれば幸いです。
 

1.少額債権の未回収がもつリスク

 少額債権の未回収は、規模の大きな会社では経営に与えるダメージが比較的小さく、それが少額債権の未回収が放置される原因のひとつとなってきました。しかし、少額債権の未回収は次のようなリスクを持っているのです。
 

(1)風評リスク

 少額債権への対応が甘いと、そういった噂が業界内でまわってしまうことがあります。実際にそういった噂が広まり、狙うちにあった企業も存在します。
 

(2)社内不正リスク

 不良債権は社員による着服などの社内不正の手法として利用されることがあります。実際には回収できた債権を、回収できなかったと会社に報告し、自らのポケットに入れてしまう手法が典型です。
 

(3)損失を取返すコスト

 例えば売買価格100万円で、利益が20万円の商品の債権が未収になった場合、その損失を取返すには500万円売り上げる必要があります。表面上は少額の未収でも、利益という観点から考えると取り戻すには膨大な労力を必要とするのです。

 

 いかがでしょうか。少額債権の未回収は表面的な数字に表れている以上に大きなリスクを含んでいるのです。少額債権への認識が改まった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2.少額債権の特徴

 次に少額債権の特徴について紹介します。
 

(1)コストがかけられない~

 少額債権の1番の特徴はコストがかけられないということです。このことが少額債権の対応を難しくしている原因の一つですが、対応方法を深く検証することで乗り越えることが可能となります。

 

(2)未払いに対する意識が低い

 次に未払いに対する意識が低いことが挙げられます。これは債権者側債務者側双方にいえることです。債権者側では、回収の意識が低いために、特に経営側からも強く回収を促されることがないため、担当者としては面倒で放置してしまいます。そうしているうちに部署移動などで担当者が変わり、責任の所在地自体があいまいになっていることが多くあります。債務者側においては、「これくらいなら支払が遅れても大丈夫だろう。」「いざとなったら払えばいいだろう。」という意識が働くため、未払いへの対応がおざなりになりがちです。そのため少額債権の対応としては、いざ未払いとなった場合には、債務者側の協力は得られないものとして対応した方がよいでしょう。

 

 今回は少額債権の概要について紹介しました。次回以降は与信管理の手法など具体的なノウハウを紹介していきます。

 


 

 

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筆者紹介

司法書士法人F&Partners 代表社員北詰健太郎

大阪市中央区内本町一丁目1番1号OCTビル3階

ホームページ:http://www.mishukin.com/

主な著書、著作

 

「少額債権の管理・保全・回収の実務」(共著 商事法務 2015年)

「Q&Aと記載例から学ぶ!!BtoBの少額債権の管理・保全・回収の実務」(NBL1019号・1021号・1023号・1025号・1027号・1029号/商事法務)
「すぐ使える 債権回収基礎講座」(登記情報613号・616号・618号/金融財政事情研究会)ほか多数

 

 

一般社団法人全国銀行協会ホームページ:http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

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