第2回 少額債権と与信管理

1.少額債権における与信管理

 少額債権の与信管理は費用、時間面において低コストで行う必要があります。一般的な与信管理と同様にじっくり時間をかけてやっていては費用対効果があいません。しかし、まったく与信管理を行わないというのは非常に危険です。大手の会社では100万円以下の取引については与信管理の対象となっていない会社も多いとは思いますが、実現可能な与信管理の手法を精査して、実務にあたるのがポイントです。
 

2.分業の促進

 100万円以下の与信管理を実行するにあたって、一番最初に出てくる問題は審査担当部署の負担増加です。筆者は、できるだけ営業部門など現場に近い部署に資料収集を任せ、審査業務を分業するように助言しています。当然登記事項証明書一つとるにしても、審査担当者からすると正確でなかったりする部分があるかも知れませんが、それでも「やらないよりマシ」という考え方にたって、勇気をもって分業を促進するようにします。

 こうすることで審査担当部署だけが負担が増えるということが防げますし、与信管理の教育をとおして営業部門と審査部門の交流も深まるようです。

 

3.効果的なツール

①登記情報提供サービス(http://www1.touki.or.jp/

 インターネット上で登記情報を取得できる登記情報提供サービスは少額債権の与信管理においては有効です。会社に居ながら300円ほどで登記情報が取得できますから、コストもそれほどかかりません。読者の方々も経験があるかも知れませんが、名刺に「株式会社」と書かれていても、登記がされていなかったり、代表取締役が別人だったりというのは実際の中小企業においてはよくあります。与信管理を行っていないと、こういった会社をふるいにかけることもできません。大変危険な行為です。導入には初期設定が必要ですが、導入後は利便性が格段に向上します。

 

②インターネット地図

 インターネット上で地図や現場の様子を見ることができるサービスもありますが、あれも頻繁に利用します。現地の様子なんとなくわかりますし、なにより無料であるからです。おおよその立地から家賃等を推測することができます。

 

③インターネット検索、SNS,ブログ

 これも無料ですが、インターネットで相手方の会社名等の検索は必ず行う様にしましょう。ホームページがある場合には、必ず閲覧するようにします。ホームページの更新が滞っているような会社は、経験上活動が活発でない可能性が高いといえます。ホームページに取引先や取引銀行を掲載している会社もありますが、後の差押を考慮すると大変役立つ情報です。またSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やブログも閲覧するようにします。これらを閲覧すると相手方の交友関係や近況をよく知ることができます。筆者の経験でも、SNSの記載から行方不明になっていた相手方の居所を突き止めたことがあります。

 

④官報情報検索サービス

 インターネット上で官報情報を検索できる官報情報検索サービスもよく利用しています。ローコストでありながら、過去の破産の履歴を閲覧することができます。

 

⑤企業調査会社の情報

 株式会社信用交換所が運営する「シンコーDBサービス」のように、企業調査を行う会社が提供する企業情報の提供サービスは、少額債権の与信管理においても有効です。中小規模の会社でも貴重な情報が掲載されていることがあります。企業調査会社との関係性を深めることは与信管理を行う上でも、大切です。

 

 なお、決算書は少額債権の与信管理においては必須のものとは考えていません。取得ができないこともありますし、分析に時間がかかってしまうことがあるからです。

以上が、少額債権の与信管理の概要です。これ以外にもどうやったらローコストで相手方の情報を取得できるかということを常に考えるといいと思います。より深く学びたいという方については、プロフィール欄に記載した拙稿にお目通しいただれば幸いです。


 

 

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筆者紹介

司法書士法人F&Partners 代表社員北詰健太郎

大阪市中央区内本町一丁目1番1号OCTビル3階

ホームページ:http://www.mishukin.com/

主な著書、著作

 

「少額債権の管理・保全・回収の実務」(共著 商事法務 2015年)

「Q&Aと記載例から学ぶ!!BtoBの少額債権の管理・保全・回収の実務」(NBL1019号・1021号・1023号・1025号・1027号・1029号/商事法務)
「すぐ使える 債権回収基礎講座」(登記情報613号・616号・618号/金融財政事情研究会)ほか多数

 

 

一般社団法人全国銀行協会ホームページ:http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

司法書士が代理人として依頼をお受けすることができるのは、紛争の目的の価格が140万円以内の事件に限ります。

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