第3回 少額債権における債権保全

1.少額債権における債権保全

 債権保全とは、万が一相手方に信用不安が発生した場合に、債権の未回収を防ぐ取り組みをいいます。少額債権の債権保全では、やはりコストがかけられないというハードルがあるため、高額の債権でよく行われる抵当権の設定などの債権保全手法は行いにくいといえます。

 筆者がよく用いる債権保全手法は次のとおりです。

 

2.債権保全手法

(1)取引条件の見直し

 取引条件を見直すというのも一つの選択肢です。例えば、代金を前払いにしてしまえば、理屈上では未回収は発生しないことになります。高額の取引の場合には、相手方の資金繰り等の兼ね合いもあり、支払期限が商品販売の2か月後、3か月後ということもあると思います。しかしながら、その社内で取り決まっている取引条件はどこまで順守する必要があるものなのでしょうか。おそらく過去の慣例でなんとなく取引条件が決まっていることが多いのではないでしょうか。少額債権の場合には、相手方の負担も少ないわけですから、見直しを行うのも効果的な債権保全の手段です。

 

(2)連帯保証

 高額の債権の場合、連帯保証は取得しても連帯保証人が支払いできるだけの資産を持っていることが少ないため、効果が低いのではないかと指摘されることが多いと思います。しかし、少額の債権の場合には、非常に効果的な債権保全手法です。連帯保証は、口頭の合意では成立しませんが(民法446条)、契約書さえ用意すれば取得することができます。現状では、必ずしも公正証書による必要はないため、ローコストで獲得することができるのです。

 また、少額債権の場合は、連帯保証人としてもなんとか支払いをしようと努力する傾向があります。読者の方も、仮に連帯保証人として1000万円請求されたら支払いを諦めてしまうかも知れませんが、20万円の請求ならなんとか支払いをして、丸く収めようと思うのではないでしょうか。

 

3.連帯保証獲得に向けて

 連帯保証を獲得するためには、使用しやすい書式を整えておくのがポイントです。連帯保証を取得するには、タイミングが大切です。連帯保証人となる人の気持ちが変わらないうちに、速やかに取得しなればなりません。誰でも使用できるように平易な表現で備えておくようにしましょう。

 なお、保証については、日本商工会議所と全国銀行協会が中心となって設置した「経営者保証に関するガイドライン研究会」が発表した、「経営者保証に関するガイドライン」において、安易な経営者保証等の取得について制限を行うガイドラインが発表されたほか、債権法改正においても様々な制約が検討されるなど、今後の動向に注目しておく必要があることを覚えておいてください。


 

 

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筆者紹介

司法書士法人F&Partners 代表社員北詰健太郎

大阪市中央区内本町一丁目1番1号OCTビル3階

ホームページ:http://www.mishukin.com/

主な著書、著作

 

「少額債権の管理・保全・回収の実務」(共著 商事法務 2015年)

「Q&Aと記載例から学ぶ!!BtoBの少額債権の管理・保全・回収の実務」(NBL1019号・1021号・1023号・1025号・1027号・1029号/商事法務)
「すぐ使える 債権回収基礎講座」(登記情報613号・616号・618号/金融財政事情研究会)ほか多数

 

 

一般社団法人全国銀行協会ホームページ:http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

司法書士が代理人として依頼をお受けすることができるのは、紛争の目的の価格が140万円以内の事件に限ります。

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