第6回 少額債権における回収〜通常訴訟〜

1.通常訴訟とは

 通常訴訟とは、世間一般でいわれる裁判のことです。原告、被告がそれぞれ証拠を元に主張をぶつけ合い、最終的な判断を裁判所が行います。世間的なイメージでは、尋問で「異議あり」などと大きな声で主張し、白熱するイメージがあるかと思いますが、そこまでもつれ込むことは稀です。ほとんどの場合は書面のやり取りだけで終わります。

 費用も少額債権の場合は、実費のみであれば2万円以内に収まることが多いでしょう。読者の方が考えていたよりは低額なのではないでしょうか。

 

2.裁判管轄について

 通常訴訟は、訴状を管轄の裁判所に提出することによりはじまります。裁判所の管轄の問題で重要なのは、訴訟の金額によって管轄を区別する「事物管轄」と、場所によって管轄を区別する「土地管轄」です。
 

(1)事物管轄

 不動産に関する争いを除き請求金額が140万円を超えるものは、地方裁判所が管轄し、140万円を超えないものは簡易裁判所が管轄します。よって、少額債権の回収については多くの場合、簡易裁判所が管轄を有することになります。
 

(2)土地管轄

 原則として被告、つまり債務者の住所地を管轄する裁判所が管轄裁判所となります。しかし、売買代金の請求に関する裁判などについては、特別裁判籍というものが認められています。これにより原告、つまり債権者の住所地を管轄する裁判所を管轄裁判所とすることができ、債権者に物理的に近い裁判所で裁判を行うことができます。
 

(3)管轄に関する工夫

 少額債権の回収においては、管轄の問題は非常に重要です。仮に債権者が大阪の会社で、債務者が東京の会社である場合、管轄裁判所が東京の裁判所とされると、それだけで回収が困難になります。特別裁判籍により、債権者側の住所地を管轄する裁判所で裁判することが認められることもありますが、より確実にするために、契約書等にはできるだけ債権者の住所地を管轄する裁判所を管轄裁判所とする旨を記載するといいでしょう。

 

3.証拠の整理

 通常訴訟は、証拠がすべてといっていいほど、証拠の存在が重要です。裁判官も、どちらの主張に正当性があるかは、証拠がなければ判断できないからです。原則として、契約締結の事実や内容については、債権者側で証明しなければなりません。

 どのような証拠を提出するかは、当事者の自由ですが、提出に際してはこちら側に不利な記載がないかなどをしっかり確認する必要があるため、時間と労力がかかります。またコピーをとったりする手間もかかります。少額債権の裁判では、1件にあまりの労力をかけるわけにはいかないため、訴状や証拠についてある程度定型化し、整理しておくことがポイントです。

 

4.通常訴訟のスピード感

 通常訴訟は、訴状の提出からおおよそ1か月に1回のペースで、審理を行います。あまりスピード感のある手続きではないので、あらかじめ理解しておく必要があります。

 最終的にこちらの主張が認められれば、勝訴判決という形で、判決書を裁判所からもらうことができます。これに基づき相手方に強制執行をすることが可能となります。裁判を起こされるというのは、債務者からすれば強烈なプレッシャーとなりますから、実費も安価なことですし、書式等を整備して通常訴訟を起こしやすい環境を整えるとよいでしょう。


 

 

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筆者紹介

司法書士法人F&Partners 代表社員北詰健太郎

大阪市中央区内本町一丁目1番1号OCTビル3階

ホームページ:http://www.mishukin.com/

主な著書、著作

 

「少額債権の管理・保全・回収の実務」(共著 商事法務 2015年)

「Q&Aと記載例から学ぶ!!BtoBの少額債権の管理・保全・回収の実務」(NBL1019号・1021号・1023号・1025号・1027号・1029号/商事法務)
「すぐ使える 債権回収基礎講座」(登記情報613号・616号・618号/金融財政事情研究会)ほか多数

 

 

一般社団法人全国銀行協会ホームページ:http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

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