第7回 少額債権における回収〜少額訴訟〜

1.少額訴訟とは

 60万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする紛争について、原則1回の期日で審理を終了し、即日判決を言い渡す手続です。金銭の支払いを請求の目的とする紛争に限定されている理由は、金銭の支払いを求める紛争が比較的論点が単純であり、審理に長い時間を要求されないと考えられているためです。簡易裁判所で行われる裁判=少額訴訟と思っておられる方が、かなり多いですが、あくまで簡易裁判所で認められる特別な訴訟手続のひとつが少額訴訟です。

 

2.少額訴訟を行うための要件

 少額訴訟での審理を求めるためには、提訴の際に少額訴訟による審理および裁判を求める旨と提訴した年において、提訴した裁判所において少額訴訟による審理を求めた回数を届出なければならないとされています(民事訴訟法368条)。回数を届出させるのは、回数制限が設けられているためであり、同一人が同一の簡易裁判所に少額訴訟による審理を求めることができるのは、年10回までとされています(民事訴訟規則223条)。筆者は、訴状の一枚目に記載して、届け出るようにしています。

 

3.少額訴訟の実際

 様々なウェブサイトや書籍では、少額債権の回収における少額訴訟有効性を強調するものが多いですが、筆者自身はあまり利用することは多くありません。その理由は次のとおりです。
 

①費用が通常訴訟と同じ

 支払督促手続は申立てにあたって印紙代が訴訟手続の半額で済むというメリットがありますが、少額訴訟の申立費用は通常訴訟と同一です。
 

②敗訴リスク

 少額訴訟では原則1回の期日で審理が終了するため、すべての証拠を第1回期日までに提出する必要があり、証拠も即時に取り調べられるものに限定されています(民事訴訟法3702項・371条)。つまり1回の期日でこちらが勝訴判決を得られるだけの証拠を提出する必要があります。相手方がどのような主張をしてくるか分からないなかで、1回の期日で審理を終了するということは、当然敗訴するリスクも考えなければなりません。

 また少額債権の場合は、通常訴訟でも第1回の期日で和解が整うことも多く、通常訴訟を選択した場合でも早期に解決することが多くあります。

 以上のような理由から筆者自身は少額訴訟を選択することは少ないですが、決定的な証拠がある場合などで、およそ和解が成立しない見込みの場合には、少額訴訟を選択すると有効といえるでしょう。


 

 

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筆者紹介

司法書士法人F&Partners 代表社員北詰健太郎

大阪市中央区内本町一丁目1番1号OCTビル3階

ホームページ:http://www.mishukin.com/

主な著書、著作

 

「少額債権の管理・保全・回収の実務」(共著 商事法務 2015年)

「Q&Aと記載例から学ぶ!!BtoBの少額債権の管理・保全・回収の実務」(NBL1019号・1021号・1023号・1025号・1027号・1029号/商事法務)
「すぐ使える 債権回収基礎講座」(登記情報613号・616号・618号/金融財政事情研究会)ほか多数

 

 

一般社団法人全国銀行協会ホームページ:http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

司法書士が代理人として依頼をお受けすることができるのは、紛争の目的の価格が140万円以内の事件に限ります。

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